blogs.

blog start all over, again

【転載・追記あり】ウェブのオープンモデルが終わらざるを得ないもうひとつの理由

※以下は本館ブログからの2011年3月7日の記事からの転載に末尾に追記をしました。


www

今さらかよ!って感じですが米ワイヤード誌の「the Web Is dead」の話から始まるコラム記事がありました。インターネットの「オープンモデル」と「クローズドモデル」の比較で、オープンモデルは「利用者からのお金の取りやすさ」において将来性が見いだせず、一方クローズドモデルはプライバシーの独占問題に危険をはらんでいるという内容でした。

 
フェースブック、iPhoneに殺されるウェブ オープン・モデルに立ちはだかるプライバシーの壁  | 小池良次「シリコンバレー・イノベーション」 | 現代ビジネス [講談社]
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/2196

 
さて、この記事を読んで思ったのが、「利用者からのお金の取りやすさ」の比較をしておきながらどうしてもうひとつの大きな違いである「PV・SEO」による収益モデルの話は出てこないんだろうということでした。
そう思って「the Web Is dead」を扱った記事をいくつか探した中で、元ネタを明快に解説しつつ、そのあたりのことを示唆してしているのがこちらの記事でした。
 
やっとウェブが死んでくれた(Thank God!) The Web is dead. - Market Hack(外国株ひろば Version 2.0) - ライブドアブログ
http://markethack.net/archives/51612471.html
 
「PV・SEO」の言葉は出てきませんが、現状のオープンウェブの歪みを指摘して「新たな閉じた世界」の新たな可能性というか必然性を想起させてくれます。

 

しっかりした課金の途があるからこそ、プレミアム・コンテンツを惜しみなく出してもコンテンツのクリエーターが「タダ働き」する心配をしなくて良いわけです。

 

すると最近IPOの申請をしたデマンド・メディアのように「アドセンスで得られる収入より安上がりにコンテンツを作る」ことで利益を出そうとするしか活路は無くなるわけです。

 

それ(閉じた世界)はネット上でのサービスの提供者に様々な課金方法を可能にし、ひいてはより良質のコンテンツをネットにどんどん出してくるひとつのキッカケなのです。

 

つまり、現状の「PV・SEOが支配するゲームに」に疲弊したり、限界を感じたり、あるいはもっと無邪気に飽きちゃった人たちから順に、新しいもの(冒頭の記事で言うところのソーシャルウェブやアプ・エコノミー)が積極的に試されてシフトしているのが今まさに起こっていることと考えられるのではないでしょうか。

 

個人やベンチャーでWebサービスを作ると、維持していくために美しく機能美にデザインされたはずのトップページにアドセンスを貼ったり、被リンクをかせぐために誰も幸せにしないサテライトサイトを運営したり。もし、そういう事をしなくても活動が維持できる、あわよくば大儲けできるプラットフォームがあれば、もしくは自分たちが先駆者となれる可能性があれば、意欲旺盛なクリエイターほど、新しい方に向き合いたくなるもの。

「インターネットの自浄作用」というか僕らに自浄作用なんてあるのか信じられないけど、「炎上マーケティング」はまっぴらだと思う、僕の方法。 - hrkt0115311の日記
http://d.hatena.ne.jp/hrkt0115311/20110305/1299330536

さてこの話題はそれほど論旨とは関係ないのですが・・・。正直、事件自体はゲンナリだし、その後にこのネタを話題にしたコンテンツが溢れ出したのにはウンザリしているところに、挙句の果てに炎上マーケティングの陰謀に違いない!という話になっててもう吐き気がしそうw
自浄作用を期待するにしても、その手のひらの上で頑張っても難しいよ、というオハナシ。

そう、炎上マーケティングなんてPV・SEOルールを逆手にとって儲けを出す最たる例。騙す方も騙される方も、妙な一体感を持ってお祭りを盛り上げている不毛な様は、たしかに「Web Is Dead」、もしくは腐臭漂う「Living dead」な感じもしないでもありません。

dead2

そんなPV・SEOも登場当初は本当に美しいものでした。

ブログプラットフォームが提案した「パーマリンク」はコンテンツをURL一意に表すことをデファクトスタンダードにして、検索エンジンの精度やアーカイブ性を飛躍的に上げてくれました。必然的にページ数(とそれに伴うPV)も飛躍的に増加したわけですが広告の面が物理的に増えたことでメディアと広告主はもちろん、ユーザーにも一時的には恩恵をもたらし、インターネットの市場を拡大してくれました。
そして、人間が探す以上に合理的で賢くなった検索エンジンから、選ばれるために「SEO」技術が生まれて、Webページの構造は合理的になり、コンテンツの文章は分かりやすくなり、製作者の自己満足以外の何者でもないFlashページは駆逐され、その制作フィーはSEOルールに最適化した優れたCMSに費やされました。
その結果Googleという会社が儲かって無料で素晴らしいWebメールを初めとするツールを提供してくれているのだからほとんどは美しいシナリオで今日まで進んできたと言えます。

ただ・・・、(唐突ながら敬愛するモウリーニョの言葉を借りると)「偉大なSEOとともにあったサイクルは終わろうとしている」のかと。

mou2


ということで、SEOさん長い間メインを張ってお疲れさま。これまでのこと、本当に感謝してるよ!(でも、これからも仲良くしてね!)
 
 

追記@2011/12/5

今年も残すところあと1ヶ月を切りましたがPVは今も元気いっぱいです(笑)
思わず新たにこんな記事を起こしてしまいました。

「PV(ページビュー)賞」に思うこと | Blog Start All Over
http://blog.livedoor.jp/ldmoriuchi/archives/4934384.html

PVはまあ、こんな感じなのですが、「SEOからの支配」に関してはすこしずつ変わりつつある2011年であったと感じています。Webサービスがより本質的に実生活に近付いている中で、認知経路としての検索エンジンの地位は相対的に下がりました。

一方で、AppStoreしかり、android Market しかり、ソーシャルゲームのプラットフォームなり、新たな支配的なプラットフォームも続々と影響力を高めてはいますが、(健全な意味での)牽制が働いていて危惧すべきほどの独占的価値観の支配は今のところ生じていないのではないでしょうか。