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【転載・追記あり】Webサービス × Gamification(ゲーム的味付け) × Optimism(楽観思想)という仮説

※以下は本館ブログからの2011年4月24日の記事からの転載に末尾に追記をしました。


 

ロケみつ ~ロケ×ロケ×ロケ~ 桜 稲垣早希の四国一周ブログ旅 3 ウサギの巻 [DVD]
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いきなり関西ローカルな話でアレですが毎日放送の「ロケみつ」という番組にブログ旅という看板企画があります 。この企画では女性芸人の稲垣早希が日本全国を津々浦々、各県のチェックポイントをクリアしながら旅していくのですがこの道中では

  • 1日2回、ブログ記事についたコメント数だけ旅の資金がもらえる。
  • サイコロの目によって全額没収〜コメント数×10まで変化する
  • サイコロや資金に関係なく使える各種カードの存在
などのゲームルールがあります。
 
ロケみつ|桜 稲垣早希の目指せ!鹿児島 西日本横断ブログ旅 : 西日本横断ブログ旅のルール
 
テレビ番組なのでゲームと言うにはとてもシンプルなルールですが、視聴者のコメント数が旅に反映されることもあり毎週気になって年甲斐もなくサイコロシーンは早希ちゃんと一緒にハラハラしながら見てしまいますw
おそらくこれが、ただの可愛い女の子の貧乏旅行をお届けするだけの番組だったら、TVをほとんど見ない僕がここまで毎週楽しみにしてみることもなかったはず。貧乏旅行というメイン企画にブログ&サイコロ資金ゲームという味付けがみごとに調和して、深夜に関わらず関西ではなかなかの人気番組に成長して電波の届かなかったはずの関東でも一部のカルト層に人気を博しております。
 

 
さてさて、前置きが長くなりましたが、ここ最近、僕たちの企画開発の現場において間でGamification(ゲーミフィケーション)というキーワードが頻出します。 
 
「Gamification(ゲーム化戦略)」について話すうち、ゲーセンで「Anser&Anser」をやりに行った - アルカンタラの熱い夏

僕は個人的に、去年辺りから今もWeb業界を席巻している「ソーシャルゲーム」から距離をおいているつもりでした。Web業界の中にいて、流行りの儲かる「ゲーム」ではない「サービス」のソーシャルウェブに取り組んでいることを勝手にひとつのポリシー(自己満足)と感じていたのです。
(ユーザーとして遊ぶ側ではゲームはそこそこ好きなんですけどね)
 
「ソーシャルメディア」「ソーシャルグラフ」とゲームはとても相性が良く、現在最もエキサイティングな成長分野であることは疑う余地は無かったのですが、インターネットは手段というよりも目的としている自分にとっては、同じWeb業界でもゲームの「側」に行くことは自分の魂を売り渡す(?)くらい異分野だと考えていたのです。

そんな頭の固かった僕にとって、Gamification は絶妙なニュアンスのキーワードでした。なぜなら、Gamification はサービスの本質や目的までをゲームに変えてしまうわけではないからです。

Webサービスにおけるゲーミフィケーションとは、ゲーム的な要素を取り入れてユーザーの動きをよりアクティブにしますが、決してユーザーの主目的はゲームの達成に置き換わるわけではありません。仮にゲーム要素がなくても十分にそのサービスの存在はユーザーにとって有益なものとして成り立っていますが、ゲーム要素があったほうがよりユーザーは「ハッピー」に「能動的に」サービスに継続参加しするようになる、Gamification とはそんな魔法のスパイスなのです。(と解釈しました!)
 
そしてさらに最近、Gamificationの関連記事を読みあさっている中で、Webサービスを考える上での慧眼となるコトバがありました。
ゲーミフィケーションを機能させる4つのメカニズム
・Urgent Optimism
・Social Fabric
・Blissful Productivity
・Epic Meaning

via 進化するゲーミフィケーション(The Gamification Evolution)| NOTE by Hiromi Kubota. 
 
 
特に刺さったのがこの内の1つ目「Urgent Optimism(しつこいくらいの楽観性)」というコトバです。ここで挙げられている楽観性とは、ユーザーのゲーム内での上昇願望からくる参加モチベーションのことで、これをうまく持続・増長させることが肝要ですよーというような意味なのですが・・・
 
ここで僕がはっと気づいたのは、これからの Gamefication 要素を持った Webサービスには、企画・設計思想においても、Optimism(楽観性)を持っていることが必要なのではないかということ。

普通、Webサービスを企画・設計する際には様々なバッドケースを想定して予防性を張っておいたり無難な方向に落ち着けてしまう引力が働きがちです。
特に日本のWebサイト・サービスに於いては、その傾向が強く、デザインにしてもユーザーインタフェースにしても、コピーワークにしても、欧米から出てくる同種のものと比べると「振り切れていない」印象をユーザーに与えがちだと常々感じていました。

もちろん、社会的に悪用されるような抜け穴はあってはならないし、システム自体は堅牢でなければいけませんが・・・と言う前置きはありながらも、サービスの企画・設計の思想においては楽観性に振りきってしまった方がメッセージも伝わりやすいし、ユーザーをモチベートしてサービスを活性化させる Gamification との相性はさらに良くなるのではないでしょうか、、と思ったわけです。

Gamification(ゲーム的味付け) が無い中で の Optimism (楽観的)なサービス設計ではバランスが取れず成立が難しく、逆に Not Optimism つまり悲観的・保守的なサービス設計下では Gamification は活性的に機能しないのではないか、そういう仮説を立てるに至りました。

 



ところで、冒頭で紹介した「ロケみつ」では道中のちょっとしたうれしい出来事(ご飯・感謝・おやすみ・絶景)でも必ず楽しい音楽で過剰にハッピーな演出をします。また、いちいち稲垣早希ちゃんが幸せな笑顔と可愛い関西弁でいいリアクションをとるので、視聴者もついついのめりこんで応援したくなってしまいます。

ということで、ここでも

「可愛い女の子の貧乏旅行(企画)」+「ブログコメ&サイコロ資金(Gamification)」+「過剰にハッピーな演出(Optimism)

の黄金の方程式が成り立っているような!?

とオチがついたところで、「Gamification」と「Optimism(4つのメカニズム)」については引き続き追いかけて研究してみたいと思います。ちゃんちゃん。

 

Gamification 関連リンク

マーケティングの最新トレンド、ゲーム化戦略とは « GQ JAPAN

http://gqjapan.jp/2011/04/01/%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%82%B1%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%81%AE%E6%9C%80%E6%96%B0%E3%83%88%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%83%89%E3%80%81%E3%82%B2%E3%83%BC%E3%83%A0%E5%8C%96%E6%88%A6%E7%95%A5%E3%81%A8/  


世界を面白くするGamification / GameBusiness.jp

gamification.jp

http://gamification.jp/   


追記@2011/11/21

この記事を書いてから半年が経ちました。その後、僕はライブドアANKERというサービスをリリースして、ロケみつでは西日本横断編もいよいよ宮崎県も後半で最終盤に差し掛かりました!
・・・さて、以前は下記の4つのポイントのうち「楽観性」に注目したのですが・・・
ゲーミフィケーションを機能させる4つのメカニズム
・Urgent Optimism(しつこいまでの楽観性)
・Social Fabric(ソーシャルな構造)
・Blissful Productivity(至福の生産性)
・Epic Meaning(叙事詩的な意味付け)

via 進化するゲーミフィケーション(The Gamification Evolution)| NOTE by Hiromi Kubota. 

今日、最も気になっているのは4つ目の「Epic Meaning」だったりします。

他の3つは実際にWebサービスを作ったり見たりしてだいぶん分かってきました。そして今では、サービスの立ち上げ時に「抑えるべきポイント」としてノウハウ化されつつあることだったりしますが、この「Epic Meaning」については、ソーシャルの力を使ったソリューションを組み立てる上でのもっとそもそものことを問うていることにおぼろげながら気づき始めました。

Epic Meaning – players will be highly motivated if they believe they are working to achieve something great, something awe-inspiring, something bigger than themselves.

ユーザーがサービスの世界にハマる大きな意味や目的・・・それは言うまでもなく、ポイントや現金だけではないはずです。

同じブログの最近のエントリーにヒントがありました。自分の中でまだ言葉にはうまくまとめられていないのですが、Webサービスの設計というかその前のコンセプトメイキングの部分にも大いに関わるかなり上のレイヤーで求められることが高次元になったという感触を持っています。

このあたりは後日別エントリーで考察できればと考えています。